膨張弁・付属機器の働きをわかりやすく解説【地味だけど試験に出る】

第3種冷凍機試験

冷凍サイクルの4つの機器のうち、一番地味な存在。それが膨張弁です。

圧縮機、凝縮器、蒸発器に比べると、膨張弁はテキストでも扱いが小さいし、イメージもしにくい。僕も勉強中、「ここは流していいかな」と思ったことがあります。でも試験ではしっかり出ます。しかも、膨張弁の周辺にある「付属機器」もセットで問われるので、まとめて整理しておくと得点源になります。


膨張弁の役割をおさらい

記事4で解説した通り、膨張弁は凝縮器から出てきた高圧の液体冷媒の圧力を一気に下げる部品です。圧力を下げることで冷媒の温度も下がり、蒸発器で熱を吸い取れる状態にします。

スプレー缶を使い続けると缶が冷たくなるのと同じ原理です。膨張弁自体が冷やしているわけではなく、圧力を落とすことで温度が下がる。この「絞り」の役割が膨張弁の仕事です。


膨張弁の種類

試験で出てくる膨張弁は、主に2つです。

温度自動膨張弁

蒸発器の出口の冷媒温度を感知して、弁の開き具合を自動で調整するタイプです。冷凍三種の試験ではこちらがメインで出題されます。

仕組みはこうです。蒸発器の出口にセンサー(感温筒)がついていて、冷媒の温度を測っています。温度が高すぎる(=蒸発器の中で冷媒が足りない)と弁を開いて冷媒を多く送り、温度が低すぎる(=冷媒が余っている)と弁を絞って冷媒を減らす。

試験で問われるポイント:

  • 蒸発器出口の冷媒の過熱度を一定に保つように制御する
  • 感温筒が蒸発器の出口配管に取り付けられている
  • 「過熱度」とは、冷媒が完全に蒸発した後、さらにどれだけ温度が上がったかを示す値

「過熱度」はテキストで初めて見たとき意味がわかりませんでした。要は、蒸発器の出口で冷媒がちゃんと全部蒸発して、しかも少し余裕がある状態を保つための指標です。過熱度が適切でないと、液体のままの冷媒が圧縮機に戻ってしまい、故障の原因になります。

キャピラリチューブ

内径がとても細い管で、冷媒がこの中を通るだけで圧力が下がる仕組みです。弁のように開閉する機構はありません。構造がシンプルで安価なので、家庭用のエアコンや冷蔵庫に使われています。

試験で問われるポイント:

  • 温度自動膨張弁のような自動調整機能はない
  • 負荷の変動が小さい装置に向いている
  • 小型の装置に使われる

冷凍装置の付属機器

冷凍サイクルの4大機器(圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器)以外にも、装置を安全かつ効率的に動かすための付属機器があります。試験では、それぞれの「何のためにあるか」が問われます。

受液器(レシーバ)

凝縮器で液体に戻った冷媒を一時的に貯めておくタンクです。凝縮器と膨張弁の間に設置されます。

なぜ必要かというと、冷凍装置の負荷(どれだけ冷やす必要があるか)は常に変動するからです。負荷が変わると必要な冷媒の量も変わるので、受液器がバッファの役割を果たして、冷媒の供給量を安定させます。

液分離器(アキュムレータ)

蒸発器と圧縮機の間に設置される機器です。蒸発器から出てきた冷媒に、蒸発しきれなかった液体が混ざっていることがあります。この液体が圧縮機に入ると故障の原因になる(液圧縮=液バック)ので、液分離器で液体と気体を分離して、気体だけを圧縮機に送ります。

試験で問われるポイント:

  • 液分離器は圧縮機への液戻り(液バック)を防ぐ
  • 蒸発器と圧縮機の間に設置される

油分離器(オイルセパレータ)

圧縮機から吐き出された冷媒には、圧縮機の潤滑油が混ざっていることがあります。油分離器は、この油を冷媒から分離して圧縮機に戻す機器です。圧縮機と凝縮器の間に設置されます。

油が冷凍サイクルの中を回り続けると、凝縮器や蒸発器の熱交換効率が落ちてしまいます。特にアンモニア冷媒の装置では、アンモニアは油と溶け合いにくいため、油分離器が重要です。

ドライヤ(乾燥器)

冷凍サイクルの中に水分が入ると、膨張弁の部分で水分が凍って弁が詰まることがあります。ドライヤは冷媒中の水分を除去する機器で、膨張弁の手前に設置されます。

サイトグラス(のぞき窓)

配管の途中に取り付けて、冷媒の流れを目視で確認するための窓です。冷媒に気泡が混ざっていないかを確認するのに使います。気泡が見えたら冷媒が不足しているサインです。


付属機器の設置場所まとめ

付属機器は「どこに設置されるか」が試験で問われます。冷凍サイクルの流れに沿って整理すると覚えやすいです。

圧縮機
  ↓
【油分離器】← 圧縮機の油を分離
  ↓
凝縮器
  ↓
【受液器】← 液体冷媒を一時貯蔵
  ↓
【ドライヤ】← 水分を除去
  ↓
【サイトグラス】← 冷媒の流れを目視確認
  ↓
膨張弁
  ↓
蒸発器
  ↓
【液分離器】← 液体が圧縮機に入るのを防ぐ
  ↓
圧縮機に戻る

この配置図を頭に入れておくと、「油分離器は凝縮器と蒸発器の間にある」→ ×(圧縮機と凝縮器の間)、のような引っかけ問題にも対応できます。


僕の覚え方

付属機器は種類が多くて嫌になりますが、試験で聞かれるのは結局「何のためにあるか」と「どこに設置されるか」の2つだけです。

僕は上の配置図をノートに書いて、「油分離器=圧縮機の出口で油を取る」「液分離器=蒸発器の出口で液を取る」というように、場所と役割をセットで覚えました。名前に「油」「液」「乾燥」とヒントが入っているので、役割は名前から推測できます。

全部を一度に覚えようとせず、過去問で出てきたものから覚えていけば大丈夫です。


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  • 記事4:冷凍サイクルをわかりやすく解説【文系でも理解できた考え方】
  • 記事6:圧縮機の種類と仕組みをわかりやすく解説
  • 記事7:凝縮器と蒸発器の役割と違いをわかりやすく解説
  • 記事10:安全装置の種類と役割(準備中)

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